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古いものを次世代へつなぐ“レスキュー”文化を生み出す「リビルディングセンタージャパン」とは

長野県諏訪市にあるReBuilding Center Japan(リビルディングセンタージャパン)、通称「リビセン」は古い木材や古道具を販売するショップとカフェがあるお店。

解体される建物などから、家具や建具、木材など、まだ十分使えるものを”レスキュー”(引き取り)。再び使える状態にして、新しい価値とともに次の使い手へ届けています。

古材や古道具。レスキューのその先

古材売り場には、古い床板や柱など各地からレスキューした木材がズラリ!一つずつ釘を抜き、掃除して販売しています。

木材は壁や柱として空間にそのまま使えるし、机やベンチ、棚を作ることもできる。リユースのバリエーションが広く、あらゆる可能性を秘めています。

電線やワイヤーロープを巻き取るために使われていた木のドラム。実はこれも売り物!
1Fのカフェには、作家さんとコラボしたオリジナル作品が並びます。
ガラス作家の池谷三奈美さんとのコラボ作品。よくレスキューされる古い型板ガラスを使用しています。
ガラス食器を逆さまにして傘にした照明は、どこかノスタルジックな雰囲気。

レスキューする機会が多いというレトロな食器は、そのまま販売することもあれば、照明として生まれ変わるものも。

どこかのお家で使われていたかもしれないガラスの食器が、こうして姿を変えてあかりを灯しているというのは素敵ですね。どのようなストーリーを辿ってきたのか想像する楽しさも、古材や古道具の魅力かもしれません。

小さな泊まれる廻舞台mawari

リビセンでは、古材や古道具をリメイクしたアイテムを手がける他、古材を使った空間デザイン・施工なども行っています。

小さな泊まれる廻舞台mawari

農村歌舞伎の舞台として江戸末期に建てられ、長野県岡谷市に移築・保存されていた建物を、リビセンが改修。

重厚な材や味わいのあるたたずまいを生かしつつ、気軽に泊まれる宿へと造り替え、一棟貸しの宿泊施設「mawari」をオープンしました。

古材に触れてものづくりを楽しむ「ワークショップ」

またリビセンでは、より多くの人が古材や古道具との距離を縮め、親しめるような場として、定期的にワークショップを開催。

リビセンの活動をより深く知るべく、カボニュースタッフが体験してきました。

リビセンスタッフの”ゆめちゃん”と”どんどん”が、古材と工具の使い方をレクチャーしてくれました。

まずは木材の測り方から。「メジャー」と「さしがね」2つの道具を使ってズレのないように丁寧に測ります。(左:ゆめちゃん)
ノコギリで木をカット。

ゆめちゃん
「ノコギリには『押すと切れるノコギリ』と『引くと切れるノコギリ』があって、スギやヒノキなどのやわらかい木材を加工することが多い日本では、後者の『引くと切れるノコギリ』が主流なんです。」

引いて切ることには、余計な力をかけなくて済むという利点も。

「丸のこ」という電動工具を使うと、手工具のノコギリとは比較にならないほどあっという間に、しかも正確に切断が可能。スムーズな切れ味が気持ちいい!
トンカチで叩いて木材の角を丸める作業。

古材には、経年変化による傷や割れがあることが多く、新しい木材で出せない風合いや迫力があります。

そんな古材ならではの独特の色合いを生かすために、ヤスリではなくあえてトンカチを使うのだそう。

仕上げのオイル塗装。同じ木なのにサッと染み込む場所もあれば、なかなか染み込まない場所もあって。木って面白い…!(右:どんどん)

どんどん
「春から夏にかけて成長する部分(=木目の色味が薄い部分)は、木の密度が低くやわらかいのでオイルが染み込みやすい。反対に、夏から秋にかけて成長する部分(=木目の色味が濃い部分)はオイルが染み込みにくいんですよ。」

柄も木目も、ひとつとして同じものがないのが面白い。木の中にオイルがじんわり浸透していく工程は、木の呼吸を感じるとともに、より愛着が深まる時間でした。

「インパクト」を使ってビス打ちしたら完成。
でき上がった木材を手に記念の一枚。

どんどん:
「DIYの基本は『正確に測って』『切って』『取り付ける』こと。これさえできれば、机でも椅子でも棚でも、小屋だって作れちゃいます。」

ゆめちゃん:
「インパクトを使ってビスが打てると、ちょっとぐらつく机や椅子を見かけたときに『なおす』ことを想像できるようになりますよね。自分でできることが増えると、暮らし方が自由で楽しくなりますよ。」

木も道具も、知れば知るほど味わいがあって面白い。同じものでも見方を変えるとあたらしい使い方が見えてくる。ワークショップに参加する前と後では、世の中を見る視点がちょっと変わった気がします。

自分が触れているものがどうやって作られているかなんて、知らなくても十分暮らしていける。でも、そこに焦点をあて、想像力を働かせることで見えてくるものもある。

私にとって古くなったものや壊れて使えなくなったものは、これまで「捨てる」しか選択肢がなかったけど、ワークショップを通して「捨てる以外の選択肢」が増えました。

全国に広がるリビセンカルチャー

「ReBuild New Culture」というコンセプトで、次の世代に繋いでいきたいモノと文化を掬いあげ再構築し、楽しくたくましく生きていけるこれからの景色をデザインしているリビセン。

リビセンとの関わり方は人それぞれで、「サポーターズ」としてリビセンに滞在しながら、古材や古道具のレスキューや洗浄を手伝ったり、売り場づくりに参加できるような仕組みもあります。

埼玉の「senkiya ATONIMO」や群馬の「ひの芽」は、そんな元サポーターズが立ち上げたお店。つくっては壊すスクラップ&ビルドでは環境負荷も大きい。町の文化のためにも使えるものは再利用しようという、リビセンカルチャーを継承しています。今後このようなリビセンカルチャーの波紋がどこまで広がっていくのか楽しみです。

前編はここまで。後編では「ReBuilding Center JAPAN」を運営する東野華南子さんにインタビュー。立ち上げの経緯や、“レスキュー”したものに込める思いについて、お話を伺います。


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