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タイの太陽光でつくる究極のサステナブル料理!?

今回は、ドコモでサステナビリティの推進業務をしているペンネーム、サバイサバイさんに寄稿いただきました!


日頃から環境に対して意識を向けているというサバイサバイさん。ボランティアに参加したり、eco検定も早々に取られたりしたそう。タイで体験された「太陽光でつくる料理」について、その出会いから実際に味わうまでをご紹介いただきます。



はじまりは、バンコクのとあるディープな酒場

COP21(国連気候変動枠組条約締約国会議)でパリ協定が採択された年であり、国連でSDGsが全会一致で採択された記念すべき2015年にタイに行ったときの話。

どこに居ようと地球環境のことを気にかけている私は、バンコクのディープな酒場に居て、そこで気になる話を耳にしていた。

どこかの商社かメーカーの駐在員と思しき泥酔い気味の日本人が、隣のテーブルで何やら話し込んでいる。
うす暗い店内に大音量の音楽が響きわたる中、「太陽光」、「ペッチャブリー」…、「ガイヤーン」と言う単語だけが途切れ途切れに聞こえてきた。

思わず、「太陽光」という単語に反応した。

日本では、2012年にFIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)が始まり、私がタイに訪れた2015年には太陽光発電が大いに盛り上がっていた頃だったからだ。

「タイでも環境ビジネスのチャンスが来たんだろう。あの駐在員と思わしき日本人たち、ペッチャブリー県に太陽光発電所でも作る計画を酔った勢いとはいえ、無防備に日本語で話したりして…」と思った。とはいえ、こんな地元民しかいそうもない怪しい店に、私のような日本人がいると思わないのが普通かもしれないが…。

ただ、ガイヤーンと言う言葉が引っ掛かった。

ガイヤーンは、有名なタイ料理なので知っている人も多いと思うが、ガイは「鶏」、ヤーンは「焼く」を意味して、タイの東北部イサーン地方発祥の一羽丸ごと焼いた鶏をぶつ切りにした料理のこと。
太陽光に、ガイヤーン、一体なんの話をしていたのか…理解しないまま、店を後にした。


いざ、ペッチャブリーへ

バンコクには数え切れないほど行っている。
もう行くところもなく暇なので、ドライブがてら先日耳にした「ペッチャブリー」に行ってみることにした。行く前に、ペッチャブリーの見所をよくよく調べてみると、何と太陽光でガイヤーンを作るお店が流行っているということが分かった。
先日、酒場で彼らが話していたのは、ビジネスの話なんかじゃなく、何のことはない飯の話だった。

ただ、発電用にずらり並んだ太陽光パネルを見るよりは、ガイヤーンの方がよほど興味深い。

しかも、太陽光で鶏を焼くということは、ガスも電気も使わないだろうから、間違いなくエコだ。

ペッチャブリーはバンコクから約130キロ、東京から私の故郷・栃木県くらいの距離のところにある。日本なら首都高と東北道を使って2時間かからないで着くところ、タイではそれほど道が整っていないので、少なくとも3時間くらいは見ておく必要がある。

お昼にガイヤーンを食べられるように、当日は9時頃バンコクを出発することにした。
当然、私はタイ人の友だちが車を出してくれるものだと思っていたのが、運転が面倒くさいとごね出した。
しかも、ごねるだけではなく、「ガイヤーンなんてバンコクで食べればいい」とまで言い出す始末。

「マニアックなところに行ってみたい」という一応旅行者である私の楽しみなど、これっぽっちも分かってない。私はいつもなら国際免許を持って来ているのに、今回はたまたま忘れてしまった。

すったもんだの末、結局タクシーをチャーターすることに。前日の夜だったが、よく利用している知り合いの運ちゃんに連絡すると、快くオッケーの返事。

運ちゃんも初めて行く場所らしく少々迷ってしまったが、腹を空かせた我々は何とかお昼前にお店に到着することができた。道は整っていないのに、タクシーはそれこそ高速道路並みに飛ばすものだから、意外と早く着いた。

手間と工夫を詰め込んだタイのエコ調理器具

そして、これが太陽光でガイヤーンを作っているところ。
小さな鏡がいくつも連なっていて、手作り感満載。

10分毎に角度を調整しているらしい。美味いガイヤーンを作るには、火加減を調整しないといけないらしく、ちょっとした職人技ともいえるだろう。
子どもの頃、虫眼鏡で太陽光を集めて紙を燃やしたのを思い出した。

じっくり火を通していくため、焼き上がるには結構時間がかかるようだが、お店には既に焼いたものがスタンバイされているので、一通り焼いている状況を見たら直ぐに食べることができた。

こうやってできる過程を見た後だと、何となく美味いと感じてしまうものだが、正直バンコクの屋台で食べてもそんなに味は変わらないかも…。

***
これは今から7年前の2015年の話だが、現在でも店は営業しているようだ。ただ、太陽光でガイヤーンを焼いている場所は、お店の直ぐ隣ではなく、数キロ離れたところに移ったらしい。
タイ旅行でペッチャブリーに行く人なんて滅多にいないと思うが、旅行中どうしても暇な1日ができてしまったときは、ぜひガイヤーンを食べに行ってみてほしい。

太陽光発電とはまた違い、太陽光そのものの
ありがたみを感じられると思う。


By タイをこよなく愛すサバイサバイ
※サバイサバイと言えば、タイのスーパースター、バード・トンチャイの往年の名曲。「快適快適」くらいの意味。




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