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【スローに歩く、北欧の旅 #5】スウェーデン・ストックホルムのバス事情

スウェーデン・ストックホルムの路面バス事情

みなさん、こんにちは。北欧を旅するライターの森百合子です。カボニューにつながる、北欧での体験を紹介するこの連載。今回は町歩きを楽しむときに頼れる公共交通やバスのお話です。

世界をリードする公共交通のあり方

北欧の町を散策するときに使いこなせると便利な公共交通。
地下鉄やトラム(路面電車やLRT)、さらにバスも利用できると行動範囲がぐっと広がります。私はよく町歩きの途中で移動手段としてだけでなく、町全体を眺めたくてバスを利用します。名所だけを巡る観光バスではなく、市民の足となっている公共バスに乗って、新しいお店が増えつつあるエリアや、ガイドブックに載らないような通りを眺めるのが好きなのです。
とくにスウェーデンの首都ストックホルムは町の規模が大きく、また路線もわかりやすいのでよく乗っています。ストックホルムは14の島からなる水の都で、町の中心部に運河が入り込み、島と島をつなぐ橋をバスで走りながら美しい町の様子を眺めるのも気持ちがいいのですよ!

ストックホルムでは、地上を走るバスや電車などすべての公共交通は現在、100%再生可能エネルギーで運行されています。
2030年までには水上バスなど海洋域で使われる燃料を切り替えることを目標とし、さらにほぼすべての駅や停留所で使用される熱源も、再生可能エネルギーに切り替えてきています。

ストックホルムは2040年までの脱化石燃料を目標に掲げているのですが、市民の公共交通利用を促すために便数を充実させるなど力を入れています。実際に市民の公共交通利用率は世界の都市と比較しても高く、温室効果ガス排出量の削減に貢献しているそうです。

30年前から積極的な施策を実現

ストックホルムで脱石油、低炭素への試みが始まったのは1980年代のこと。その後、試験的走行を経て1990年には最初のエタノールバスが走行しました。この30年の間にグリーン移行への取り組みは着実に実を結び、ストックホルム交通局の発表によると、2009年からの10年間で80%の温室効果ガス排出量の削減を達成。運行するバスの15%は下水や廃棄食料から作られるバイオガスを利用し、従来の車両より25%のエネルギー量削減ができるハイブリッドバスも導入しています。バスの車体を見ると「このバスはバイオガスで走っています」「このバスは環境にやさしい燃料を使用しています」と大きく書いてあります。

最後にバスの利用方法についてご紹介しますね。ストックホルムでバスを利用する際に気をつけたいのが、チケットを事前購入または料金をチャージしておくこと。バスに乗り込んでから現金やカードでの支払いはできないんです。
SLカードと呼ばれるパスモのようなチャージ式カードを使うか、あらかじめアプリをダウンロードして乗車券を購入します。旅行者におすすめは1日券や3日券、または1週間の乗り放題パス。私はもっぱら乗り放題パスを利用しています。ストックホルムの町を旅するときには、ぜひ環境に配慮した公共バスの旅も楽しんでみてくださいね!

ストックホルムの町中にある広場で休憩していたら、向こうからずんずんと歩み寄ってきた猫さんです。それではヘイドー!(スウェーデン語で「さようなら」)

プロフィール  森 百合子(もり ゆりこ) 
北欧5カ国で取材を重ね、ライフスタイルや旅情報を中心に執筆。主な著書に『3日でまわる北欧』(トゥーヴァージンズ)、『北欧ゆるとりっぷ』(主婦の友社)、『いろはに北欧』(学研プラス/地球の歩き方)など。執筆活動に加えてNHK『世界はほしいモノにあふれてる』『趣味どきっ!』などメディア出演や、講演など幅広い活動を通じて北欧の魅力を伝えている。築88年の日本家屋に暮らし、北欧デザインを取り入れたリノベーションや暮らしのアイデアも実践中。 
HP:https://hokuobook.com
Instagram:@allgodschillun


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