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【スローに歩く、北欧の旅#38】裸で冷水浴が気持ちいい!スウェーデン式サウナに夢中です

みなさん、こんにちは。北欧を旅するライターの森百合子です。カボニューにつながる、北欧での体験を紹介するこの連載。今回は私のとっておきのお気に入りスポットをご紹介したいと思います。それは、スウェーデンで訪れたサウナです。


主役はあくまでも冷水浴

日本で一大ブームとなっているサウナ。ちなみに「サウナ」とはフィンランド語だと、ご存知でしたか?そう、サウナといえばフィンランド……なのですが、今回ご紹介したいのはスウェーデン式サウナです。

日本でサウナというとお風呂の延長のような存在ですが、北欧のサウナは自然と過ごす場所でもあります。たとえばフィンランドではサウナのあとは湖へ(フィンランドでサウナに入った体験は「#27 次の旅のおすすめは?サステナブルな北欧旅のススメ①」でご紹介しています)。エストニアでは、森のなかにある伝統的なスモークサウナで体を温めた後に、目の前に流れる川に入ってリフレッシュしました。現地の人たちは、冬ならば凍った湖に入ったり、積もった雪のなかにダイビングすることもあります。そして今回、ご紹介するスウェーデン式サウナは、海とセットなのです。

スウェーデン第2の都市マルメに滞在していた時のこと。友人に誘われて体験したのがスウェーデン語で「カルバアドヒュース」と呼ばれるスウェーデン式サウナでした。カルバアドヒュース(kaldbadhuset)とはコールド・バス・ハウスの意味。冷水浴のためのサウナ付き施設を指し、もともと健康促進や水治療法の一環として始まったといわれています。フィンランドやエストニアではあくまでもサウナが主役ですが、スウェーデン式は名前からして海に入る冷水浴が主役で、そのサポートのためにサウナがあるといった感じです。

一般的なカルバアドヒュースでは、サウナは男女別々に分かれています。サウナ内での水着着用は基本的に禁止なので裸で入り、体が温まったら裸のまま海に入ります。おひさまの下で裸で泳ぐなんて、思えば物心ついてから初めての体験でしたが、これがなんともいえず気持ちいい!水着のあるなしで開放感がこんなに違うものか、と感じました。

独特の建築様式と桟橋の謎

マルメですっかりカルバアドヒュースのファンになった私は、スウェーデンの西海岸沿いに点在するカルバアドヒュースをめぐる旅をしました。友人に勧められて訪れたのは、ヴァルベリという町。古くから保養地として知られるヴァルベリでは、スウェーデンで冷水浴が注目されはじめた1820年代から取り入れ、1866年には現在の形につづくカルバアドヒュースが建設されたとのこと。

オリジナルの建物は暴風雨により何度か倒壊しており、現在の建物は1903年に建てられたもの。モスクを思わせるイスラム的な建築に驚きましたが、もとの建物が作られた当時は、ムーア様式とよばれるこうしたスタイルが流行していたそうです。マルメで入ったカルバアドヒュースも何度か修復されているものの、やはりオリジナルのスタイルを残した建物で、1900年代初頭に流行していた壁の色や玄関ポーチなどをそのまま残したクラシカルな佇まい。どちらにしてもフィンランドやエストニアで見てきた素朴なログハウスのサウナとはまったく異なる趣で、この中にサウナがあるとは思いもつきません。

ヴァルベリのカルバアドヒュースのすぐそばにパターゴルフ場があり(北欧ではパターゴルフが人気なんです!)、ちょうどカルバアドヒュース型があったので撮影。こうして見ると、中の造りがわかるでしょうか。左右の建物でぐるりと海を囲んでプールのようになっており、男女それぞれに裸のまま冷水浴を楽しめるというわけです。プールのまわりにはウッドデッキがあり、ごろごろ寝転んで日光浴を楽しむこともできます。

サウナ部屋は真ん中の建物の奥に作られていて、窓から水平線を眺めつつサウナに入ることができます。建物の外側の海に降りられるハシゴもあり、沖から離れて海水浴が楽しめるのも魅力です。

波のある日は流されやしないかと海へ入るのにドキドキしましたが、どうやらこの辺りの海岸は遠浅のようで、入ってみると足がついてほっとひと安心。海岸の深さに合わせて沖に建てるため、桟橋の先にあるのだなと気づきました。

長い長い桟橋の先で冷水浴

そして、この夏の終わりに訪れてきたのがこちら。ベェーレッドという町にあり、桟橋の長さはなんと……574メートル!スウェーデン最長だそうです。

桟橋のはるか向こう、水平線の上にカルバアドヒュースが見えます。

桟橋の半分くらいまで歩いてきても、この景色。まだまだ先は長いです。桟橋の右側に見えるのがカルバアドヒュースで、左側はそのまま海に出られる海水浴場となっており、子ども達でにぎわっていました。訪れた日は天気も良く、泳ぐだけなら左側でもいいのですが、北欧の海は夏場も水温が低いことが多いので、サウナで温まることができるのはありがたいんですよね。

これだけ沖に出ているにも関わらず、海に降りるとやはり足がつく深さでした。岸からはるか遠く離れた海の中を泳げるなんて(しかも裸で)最高です。サウナと海、デッキでごろごろを何度も繰り返しているうちにあっという間に時間が過ぎていき、帰る頃には気持ちも体もすっかりリフレッシュ。天気がよければ半日くらいいられそうです。

ちなみにこちらのカルバアドヒュースは会員制ですが、混雑していなければ会員以外でも利用可能となっています。マルメやヴァリベリのカルバアドヒュースは誰でも予約なしで利用できるので、ふらりと立ち寄れるのは旅行者にも嬉しい限り。

サウナを通して自然と向き合う

カルバアドヒュースの歴史を調べていたところ、裸での海水浴は古来からの知恵なのかと思いきや、意外にも1930年代頃に裸で泳ぐのが流行して以来の習わしなのだと知りました。これがスウェーデン式か……!と、最初こそどぎまぎしましたが、慣れてしまえばこの開放感、サウナと海の組み合わせがたまりません。こんなにも気軽に、裸で自然と付き合える場所なんて他にないのではとすっかり魅せられてしまい、次の旅ではどこのカルバアドヒュースに行こうかと考えています。

初夏〜夏にかけての海水浴シーズンももちろん気持ちがいいのですが、地元の人々にならって真冬に入るのも気持ちいいもの。12月に試した時には、夏とはうってかわって風が強く、夕方には真っ暗。そんな冬の海に恐れをなしつつも、手すりにつかまりながらおそるおそる足をつけ、「ひゃーっ」と叫びながらもなんとか肩まで浸かりサウナへ駆け込みました。肌がジンジンするような冷たさでしたが、サウナでしっかりと温まり、繰り返すうちに血行がよくなっていきます。冬はさすがにそれほど泳ぐことはできませんが、一年を通して海を楽しめるのがいいですよね。

平日の昼間に行けば高齢の利用者が多く社交場のようになっていて、さながら日本の銭湯のよう。裸でサウナと海水浴を楽しむお婆ちゃん達の姿を見ながら、私も歳をとったら毎日カルバアドヒュースで過ごしたいなあ……と羨ましく思うのでした。

昨今は若い世代の利用者も増えているというカルバアドヒュース。コロナ禍をきっかけに地元の魅力が再発見され、また自然と向き合える身近なレクリエーションとしても注目が集まっているようで、そこは日本のサウナブームとも通じるところがありますね。最近、日本ではサウナを通してその土地の自然に触れる「サウナツーリズム」が盛り上がっているようですが、もしスウェーデンを旅する時にはぜひ、カルバアドヒュースを通してスウェーデンの海や風を感じてみてくださいね!

マルメでカルバアドヒュースに誘ってくれた友人から送られてきた写真です。「猫の横断に注意」の看板でしょうか。スウェーデンには、こんな海岸沿いまでお散歩にくるツワモノ猫が多いということでしょうか……!くれぐれも車に気をつけて過ごしてほしいものです。それではへイドー(スウェーデン語でさようなら)!

プロフィール  森 百合子(もり ゆりこ) 

北欧5カ国で取材を重ね、ライフスタイルや旅情報を中心に執筆。主な著書に『3日でまわる北欧』(トゥーヴァージンズ)、『北欧ゆるとりっぷ』(主婦の友社)、『いろはに北欧』(学研プラス/地球の歩き方)など。執筆活動に加えてNHK『世界はほしいモノにあふれてる』『趣味どきっ!』などメディア出演や、講演など幅広い活動を通じて北欧の魅力を伝えている。築88年の日本家屋に暮らし、北欧デザインを取り入れたリノベーションや暮らしのアイデアも実践中。 
HP:https://hokuobook.com
Instagram:@allgodschillun

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