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未来を変える力がここに!中高生が考えた「エシカル消費」への一歩とは? TOKYOミライ開発プロジェクトのイベントに潜入

6月16日(金)、公益社団法人東京青年会議所主催のもと、「中学生とエシカル消費について考えよう!~TOKYOミライ開発PJ~」というイベントが開催されました。

この日に向けて、「エシカル消費」について多方面から学んできた中高生のみなさんが、「エシカル消費」を実践していくために、私たちはどんなことをするべきなのか、彼らの言葉でまっすぐに届けてくれました。

この記事では、当日の会場の雰囲気や、緊張しながらも自信をもってプレゼンする彼らの姿をレポートします!

まずは「エシカル消費」についておさらい!

今回、このプロジェクトのメイン講師を務めたのは、佐々木梨絵さん。
佐々木さんは、SDGsやエシカル消費の基礎とも言える学問、イギリス発祥の「国際開発学」のマスターをバース大学で取得されている方なんです。

まずは、佐々木さんから「エシカル消費」についてご紹介をしていただきました。

――佐々木さん
「今日のテーマは『エシカル消費』ですが、この言葉は8.8%ほどしか認知されていないのが現状です。『エシカル消費』とは、好きとかほしいとか、自分にとってハッピーな理由だけでものを選ぶのではなく、だれが作ったのか、環境に与える影響は少ないのかなどを考えて、自分の倫理観と照らし合わせながらお買い物をすることです。

今日は、どのような倫理観を持つべきか、というのを学生のみなさんが3つのテーマで話をしてくれます。私が彼らに伝えてきたことは、『世界を急に変えようとするのではなく、まずは身近な存在である保護者の方にどうやったら理解してもらえるか』を考えてみてほしいということ。なので、今日はぜひみなさん、自分ゴトとして捉えながら聞いていただけたらうれしいです。」

続いて、これまで学生のみなさんをエンパワーしてきた5名の登壇者のご紹介と、それぞれが取り組まれているエシカルな事業や取り組みについてお話がありました。

環境省の中村幸弘さんからは、カボニューのご紹介もしていただきましたよ~!

「エシカル消費」への想いを中高生がプレゼン!

学生のみなさんの発表に移る前に、5か月間にわたってエシカル消費について学びながら、プレゼンの準備をしてきた中高生のみなさんの軌跡を動画で振り返っていきます。

会場のリスナーも、彼らが真剣に学んでいく姿をまっすぐに見つめます。

学校を終えてから19時~21時の間で講座に参加し、この日のプレゼンに向けて準備をしてきたのだそう。彼らの学びの意欲にただただ感動です…。
それでは、中高生のみなさんのプレゼン、スタート!

※プレゼンの内容は、発表時のものをそのまま引用しています。

牛肉を食べる量を減らして、温室効果ガスを減らそう!Byチームこけ

緊張した面持ちで登場した、チームこけの3人。なんだか一風変わった装いをしています。

すると、開口一番、「パペットマペット!」ウシくんとカエルくんの会話が始まります。
(中高生、「パペットマペット」を知っているんだ…。)

「ウシくん、大量のメタンガスを出して環境破壊をしているんでしょ?君なんていなくなってしまえばいいんだ!」と、カエルくん。

リスナーの笑いを誘い、つかみはばっちり!そのまま、3人の解説が始まります。

実は、牛のげっぷから排出されるメタンガスは、二酸化炭素の20倍もの温室効果があるんだそう。農業(畜産業)は世界中の温室効果ガス排出量の約18%を占めていて、地球温暖化に大きく影響してしまっているんだとか。

地球温暖化が深刻になると、世界の穀物価格が2050年までに約23%上昇すると言われていて、現在約3,000円のコシヒカリ5㎏が、30年後には約700円も値上がりするかもしれないんだそう。

さらに、2100年までに世界の平均気温が4.6度上昇するとも言われていて、桜が咲かなくなる未来がやってくるかもしれない。

その未来にストップをかけるために、私たちにできることとして、
チームこけのみなさんは、「1家族1週間に1パックずつ、牛肉を食べる量を減らす」というアイデアを提案!
なんとこれを実践できたら、牛肉に関係する温室効果ガスの排出量が56%程度減ると言われているんだそうです。

「牛の存在は悪くない。人が大量生産・大量消費をすることが問題なんです。お金と選択肢のある大人のみなさんが、まずは今までの選択を見直してくれないと困るんです!」と、最後に強いメッセージで発表を締めくくってくれました。

チームこけのみなさん、とても斬新で興味深い発表、ありがとうございました…!

「1家族1週間に1パックずつ減らす」という具体的なアイデアを提示してくれているので、すぐに取り組みやすいですよね。これまで、食べ放題でむやみやたらに牛肉を食べていた自分を反省しました…。これから牛肉を食べるたびに、彼らの力強いメッセージを思い出しそうです。

登壇者から代表して、環境省の中村幸弘さんからコメントをいただきました

――中村さん
「みなさんの強い想いが、我々大人の心に染み入ってきました。
『腹八部で医者いらず、 腹六部で老いを忘れ、 腹四分で神に近づく』という言葉がありますよね。日本にはもともとそういう文化があるので、今日発表してくれた内容をもっと深堀っていくと、本当に世の中が変わるかもしれないですね。」

フェアトレード商品を取り入れて、生産者のことも考えた消費行動を!By チームKnown

続いて、チームKnownの3人の発表です。なにやら、手に何かを持っているみたい…!

持っていたのは、「TONY’S CHOCOLONELY」というチョコレート。
実はこのチョコレート、「食べる人においしく作る人にやさしい」と言われている、フェアトレード商品なんだそう。

でも、フェアトレードのことってよく知らないかも…。という疑問から、3人で紐解いていくことに。

フェアトレード商品とは、子どもの労働や女性の長時間労働がない環境で作られ、公平な取引のもとで販売されているもののこと。

私たちがお店でよく見かけるチョコレートは、子どもの労働によって作られているものが多くあって、彼らは学校に行けずに働くことを強いられてしまったにもかかわらず、体罰が日常的に起こっていたり、鉈で自分の足を切ってしまうほど管理がされていなかったり、働く環境は最悪。おいしいチョコレートが作られている背景には厳しい現実があるということを教えてくれました。

この子どもたちを救うための仕組みが、フェアトレード。
フェアトレードが浸透すると、カカオ農家を救うだけでなく、その人たちが住んでいる村全体の発展を助けることにもつながるんだそう。

日本でも買えるフェアトレードのブランドもたくさんあって、「TOPVALU」や「FUKUI」などは日本のブランドなんだとか。知らなかった~!

※プレゼン資料より抜粋

「でも、フェアトレードの商品は高価だから、お小遣いで定期的に買い続けることは難しい。だから、自分でお金を管理している大人の方々こそ、自分たちの消費行動に責任を持てるはず。自分が好きだからという理由だけでものを選ぶのではなく、生産者のことも考えた消費行動が、みんなでできるようになったらいいなと思います。」と、最後にまっすぐな想いを届けてくれました。

チームKnownのみなさん、ありがとうございました!

終始、3人のキャラクターを活かしたユニークな掛け合いが印象的で、気づけばフェアトレードについて学べていた、そんな素敵なプレゼンでした!

いつも買う商品をフェアトレードのものに変えるだけでいい。今日からすぐに実践できることで、世界の子どもたちの生活が改善されていくのであれば、早速取り入れていくしかないですね!自分の同世代の子たちが置かれている状況に疑問を持ち、声を上げた彼らの姿に、奮い立たされる時間でした。

消費者庁の米山眞梨子さんからご感想をいただきました。

――米山さん
「覚えなければならないことがたくさんあって、とても難しかったですよね。動画などもたくさん探してきて、聞き手の心に響くような工夫をされていたと思います。

大人に向けた熱いメッセージも受け取りつつ、これから大人になっていくみなさんとも一緒に、エシカル消費を取り入れていけたらうれしいです。」

買い物は投票。生産者のことを考えて服を買おう!ByチームMKPJ

最後は、チームMKPJの3人。テーマは「エシカルファッション」です。

「エシカルファッション」とは、人権や社会、環境などに配慮したファッションのこと。フェアトレードや労働者の人権の尊重、伝統文化の継承、持続可能な材料の使用、廃棄の削減、無農薬栽培、再生利用、動物愛護、地産地消など、さまざまな査定基準があるんだそう。

その対極にあるとされるのが、「ファストファッション」。ファストファッションは、手頃な価格でファッションを楽しめる一方で、大量生産・大量消費によって引き起こされる人権問題や環境問題といった、大きな課題を抱えています。

ファストファッションの受注工場だった建物が崩落し、多数の死傷者が出た「ラナプラザの悲劇」と呼ばれる事故があります。この建物は、以前から老朽化が指摘されており、改築を求める声が上がっていましたが 、その声を無視し続けたことにより 事故が発生。自身の利益だけを追求した企業側の対応が原因で、大勢の人の命を奪う結果に。

しかし、そんな 事故が起こったにも関わらず 、ファストファッションの市場規模は年々増大。消費者は自分たちの利益だけを考え、服を買い続けているという現状があるんだそう。

「自分たちはお金を管理してもらっている立場なので、大人の人に責任をもって買い物をしてもらうよう訴えること、そして買ってもらった服をできるだけ長く着ることくらいしかできない。だからせめて、大人の方々にも少しでも生産者に想いを馳せて買い物をしてほしい。」と、最後は「買い物は投票。」という力のあるキャッチコピーで締めくくってくれました。

チームMKPJのみなさん、ありがとうございました!

深刻な現状を訴えながら話を展開する3人に、私たちリスナーは終始圧倒されていました…!ファストファッションは手軽だからたくさん買ってしまうし、安かったから捨てるときに躊躇も少ない。生産者の現状が知られない限り、この悪循環は続いてしまうのではないかと悲痛な思いに。

「服を作っている人が自分の家族だったらどう思いますか?」という彼らの 問いかけに、心を打たれない人はいないはずです。まずは自分ゴトとして捉えることで、行動を変えていってほしいという力強いメッセージ、しっかりと受け取りました。

発表の後、レダジャパン株式会社の代表取締役、上野伸悟さんからコメントをいただきました。

――上野さん
「自分自身も、このファッション業界の問題を、学生に向けて発信したりしていますが、僕よりも素晴らしいプレゼンだったんじゃないかな。

生地から物を作る立場としてみなさんに伝えさせていただくと、実はTシャツの生地を1枚買うのに700円かかります。さらに日本の縫製工場で縫製をすると1枚1,000~1,500円かかります。コストだけで2,000円かかるものを、市場では600円~1,000円という値段で売られているのは、すごく間違っていますよね。

さらに、海外の働き手を使うことでより安く売ろうとする仕組みは、あってはならないことです。その課題感を学生のみなさんから発信してくださった気がします。」

3チームの発表が無事に終了!
ほっとした表情を浮かべるみなさんから感想をいただきました。

「2月から、時間をかけて用意してきたプレゼンテーションだったので、多くの方に聞いてもらえてよかったです。」
「緊張して間違ったりしましたが、みなさんが頷いてくれる様子を見て、伝えたいことがしっかりと伝わっているんだと安心しました。」

イベントの最後に、環境省中村幸弘さんよりご感想と、今後の取り組みの発展に向けてご意見をいただきました!

――中村さん
「みなさんお疲れ様でした。本当に感動しました!

国の施策として『国民運動』というものを始めていて、そこにみなさんも参加できる機会を作っていけないかと考えています。10年後の世界を描いているので、今の学生のリアルな声を取り入れながら、ぜひ一緒に新しい豊かな社会を作っていきたいです。」

***
発表してくれた中高生のみなさん、お疲れ様でした~!

みなさんの熱い想いを聞いて、なんだか明るい未来を作っていけそう、そんな気持ちになりました。カボニューも、よりよい未来への一歩となるアイデアを、みなさんと一緒に考えていきたいと思います!


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