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【スローに歩く、北欧の旅#44】地域主導で、北欧最大級の蚤の市に成長したヨーテボリ名物、メガロッピスを散策

みなさん、こんにちは。北欧を旅するライターの森百合子です。カボニューにつながる、北欧での体験を紹介するこの連載。今回はスウェーデン第二の都市ヨーテボリで毎年開催されている名物イベント、巨大蚤の市のお話です。


町をあげての巨大蚤の市

スウェーデン第二の都市ヨーテボリ。港町として栄え、ボルボやエリクソンの本拠地としても知られるこの町では年に一回、毎年5月にユニークな蚤の市が開催されています。その名もメガロッピス。ロッピスとはスウェーデン語で蚤の市のことで、文字どおり"巨大"な蚤の市なんです。

メガロッピスが開催されるのは、ヨーテボリの南西側に位置するマヨルナというエリア。住宅街が中心で、もともとは労働者の町だったのが最近はおいしいレストランやバーが増え、アンティークショップやレコードショップなど個性的な店も点在する散策が楽しいエリアなのです。

このマヨルナで2009年、地域に暮らす人々の主導によりスタートしたのがメガロッピス。地域のリサイクル活動を奨励する「エコロジカル・ディストリクト・マヨルナ」プロジェクトの一環として、メガロッピスが始まりました。「エコロジカル・ディストリクト・マヨルナ」プロジェクトでは、スーパーマーケットからの廃棄食品を利用した食堂を開催したり、自転車の修理や服、生活道具などの修理やリメイクが誰でも気軽にできるよう、工具やミシンを揃えた場所を設けたり、環境に配慮したおもちゃを集めたトイ・ライブラリーを作るなど、地域のゴミを減らし、リサイクルに対する理解を深めるためのさまざまなアイデアが実行されてきました。そうした試みの中でも、地域を越えて人気を博したのがメガロッピスで、10年ほどの間に合計70000人もが訪れる北欧最大級の蚤の市に成長しました。

暮らしものぞける蚤の市

コロナ禍により数年休止していたメガロッピスですが、2023年、じつに4年ぶりの開催となりました。私は今回で3回めとなる参加でしたが、今まで以上のにぎわいを見せていました。当日は快晴で蚤の市びより。公式には朝10時スタートとされていますが、10時には既に大勢の人であふれていました。開催場所へ向かう路面電車は大混雑で乗れないほど、道によっては前に進めないほどの人混みで、北欧を旅していてここまでの混雑に遭遇したのは初めてです。それだけ町の人々が楽しみにしていたのが伝わってきました。

例年以上のお祭り気分に包まれたメガロッピス。家族で出店し、シナモンロールや焼き菓子など、家庭で作ったお菓子やパンを売っているブースもあります。スウェーデンの日常の味を楽しめるのも、こうした地域密着イベントの魅力なんですよね。

子どもの服やおもちゃを売っている人達も多く、子ども達本人が売っているブースもよく見かけました。子どもの成長にあわせて不要になったものが、必要とする人へ地域で循環していくのは素晴らしいですし、幼い頃からこうして物を無駄にせず、他の人へとバトンを渡していくことを学べるのもいいですよね。ちなみに私も絵本や教本などを見つけて購入。読み書きのための教本などにも洒落たイラストが入っていて、可愛い本が多いのですよね。

メガロッピスの名のとおり、開催されているエリアは広く、徒歩では到底まわりきれないので、トラムも使いながらまわっていきます。出店者が多い人気スポットのひとつが「Plaskis」と呼ばれる広場で、一段低くなっている四角いスペースは6月~8月の夏期にはファミリー向けの浅いプールになり、それ以外の時期にはスケートボードの練習場としても使われているそう。1930年代に作られた地域住民の憩いの場で、メガロッピスの日には所狭しと出店ブースがひしめきあっています。この広場を見渡せる芝生の丘では、ピクニックを楽しむ人もたくさん。

掘り出し物も発見!

リサイクルが主目的の蚤の市なので、服や日常の生活道具が中心ですが、稀にコレクターが大放出していることも。「え、これがこの値段!?」と、ビンテージデザイン好きが興奮せずにはいられない掘り出し物が見つかることもあります。

私の心を捉えたのは、ウプサラ・エクビーという今はなきスウェーデンのメーカーのお皿をごっそりと出店していたブース。売り主さんいわく「ここのメーカーが好きで集めすぎちゃったから、40年代のデザインを残して50年代のプレートは放出することにした」とのこと。50年代のデザインを放出とは……北欧ビンテージ好きにはたまらない年代です。「40年代だけ残すとは、渋い……!」と心で唸りながら好みのお皿をピックアップして、15枚ほど購入してしまいました。

売り主さんと話していると、このすぐ裏の建物に住んでいるとのこと。このあたりの建物は築200年になる物件もあり、ヨーテボリでももっとも古い建物のひとつだそう。あれも気になる、これもいいな、と手にとって見ていたら、別の売り主さんからは「家にもっとあるから、持ってこようか!」と声をかけられ、なんとお家の中まで見せてくれました。この気軽さがまた楽しい!

蚤の市を通じて、町をより良く

終了時刻の少し前になると、スウェーデン全国で展開するリサイクルショップのトラックが会場へやってきて、売れなかった物はそのまま寄付することができます。売れなかった物をまた家に持ち帰らずにすむ、そんな仕組みもさすがです。ちなみに北欧の町では、リサイクルショップによる不用品の回収ボックスが町の各所に設置されていて、普段から気軽に服や生活道具を寄付することができます。

4年ぶりとなったメガロッピスでは、蚤の市以外にも新たな試みが催されていました。たとえば庭いじりのワークショップが開催され、植物の種や苗の交換ができるスポットもありました。リサイクルに限らず、暮らしと環境をよくする。それがメガロッピスが目指すところなのでしょう。

これまで北欧を旅する中で、さまざまな地域で蚤の市を訪ねてきましたが、メガロッピスは規模の大きさだけでなく、蚤の市を通じて暮らしを、地域をより良くしたいという強い思いに圧倒され刺激を受けます。だからこそ、また来年も!と思わずにはいられないのです。

メガロッピスで目があった猫さんです。30クローネ、日本円で約400円なり。奥で寝てる猫さんも、かわいいですね。はい、私も何匹か連れ帰りました。それでは、ヴィセース(スウェーデン語で、またね)!

プロフィール  森 百合子(もり ゆりこ) 

北欧5カ国で取材を重ね、ライフスタイルや旅情報を中心に執筆。主な著書に『3日でまわる北欧』(トゥーヴァージンズ)、『北欧ゆるとりっぷ』(主婦の友社)、『いろはに北欧』(学研プラス/地球の歩き方)など。執筆活動に加えてNHK『世界はほしいモノにあふれてる』『趣味どきっ!』などメディア出演や、講演など幅広い活動を通じて北欧の魅力を伝えている。築88年の日本家屋に暮らし、北欧デザインを取り入れたリノベーションや暮らしのアイデアも実践中。 
HP:https://hokuobook.com
Instagram:@allgodschillun

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