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HOTEL WHY で“考えた”、1日に出るごみの量と生活の中でできること

日本で初めて「ゼロ・ウェイスト」を宣言した、徳島県の上勝町。前編では、上勝町のこれまでの取り組みや今後の想いについて、ゼロ・ウェイスト推進員の藤井園苗さんにお話をお伺いしました。記事はこちら

後編では、HOTEL WHYに宿泊したゲストが体験できる、「ごみの13種類45分別体験」をレポート。1日でどのくらいのごみが出て、どのようにリサイクルされるのかを学びながら、体験を通して得た“気づき”をシェアしたいと思います。
※本記事は2022年12月に作成したものです。

ホテルに到着!いたるところに散りばめられたエコな気配り

今回は、カボニュースタジオメンバー3人でHOTEL WHYにお伺いしました!

HOTEL WHYに隣接するゴミステーション

HOTEL WHYの館内や隣接するゴミステーションを案内してくださるのは、上勝町ゼロ・ウェイストセンターを運営するBIG EYE COMPANYの大塚桃奈さん。上勝町で取り組んでいる「ゼロ・ウェイスト」について、たっぷりとお話をお伺いしました!

※取材時のみ、マスクを外していただくようお願いしています。

HOTEL WHYの客室のコンセプトは「ゼロ・ウェイストアクション」。そのため、お部屋に使い捨てのアメニティは設置されていません。そして、チェックイン時にゲストに体験してもらいたい2つのゼロ・ウェイストアクションが、「せっけんの切り分け」と「コーヒーとお茶の計り分け」。
 
滞在中に 部屋で使うせっけんの量は、これくらいかな…?と考えながら、必要な分だけせっけんを切り分けます。
 
いつもホテルに滞在するとき、新しく開けたせっけんは、そのあと捨てられていたんだよなぁと、これまでのことを思い返しながらカット。

1日の滞在で使うせっけんって、こんなに薄くていいんだなぁ。

続いて、コーヒーとお茶を計り分けます。
チェックアウトまでに何杯飲むだろうか…?と考えて、3人ともコーヒーとお茶一杯ずつ分けてもらうようお願いしました。

客室ごとに必要な分だけ分けられた、コーヒーと上勝晩茶。
上勝晩茶は、国内でも珍しい乳酸発酵で作られたお茶で、町の方も日常的に飲んでいるんだとか。

そして、 部屋へ。

滞在中に部屋で出たごみを分別する6つの箱がこちら。実際にゴミステーションで分別する際は、もっと細かく分けることになりますが、それはのちほど…。

大人から子どもまで。「ゼロ・ウェイスト」のためにみんなで取り組んできたこと

大塚さんが、敷地内を歩きながら上勝町のごみ分別の歴史をお話ししてくださいました。

2003年に日本で初めてのゼロ・ウェイスト宣言を行った上勝町。現在では、なんと「13種類45分別」という徹底した取り組みが行われているとのこと。
 
そんな上勝町ですが、1997年までは、ごみを野焼きで処理していたという過去があったそう。 
 
上勝町ゼロ・ウェイストセンターがある場所には、もともと町の方が使っていたごみ回収拠点である「日比ヶ谷ゴミステーション」がありました。現在のゴミステーションは、町民や業者の方が車で乗り付けしやすいように、馬蹄形にデザインされています。

また、地域外の方も滞在したり働いたりできるような空間をつくりたいという想いから、ホールなどの交流場所やその先に丸いかたちのホテルを設計。施設全体を上から見ると、なんと、「?」のかたちになっています。

Photo: Transit General Office Inc. SATOSHI MATSUO

この建物の「?」のかたちと、「HOTEL WHY」という名前には、「なぜ、ごみを捨てるのか?」「なぜ、上勝町はゼロ・ウェイストを続けるのか?」という自問がこめられているんだそう。
 

続いて、施設内の「くるくるショップ」へ。
ここは、不要だけどまだ使えるものを町の人が持ち込み、欲しい人が持ち帰ることができる無料のリユースショップです。

「リサイクルにはエネルギーやお金がかかるので、まだ使えるものはそのままリユースされるのが理想」という考えから生まれたこのショップ。なんとこの仕組みを考えたのは、町の小学生!

欲しいものに出会えたら、そのものの重さと欲しい理由をノートに記入すると、持ち帰ることができます。このくるくるショップでは、毎月300~500kgのものが再利用され、ごみから救出(Rescued)されているそう。

シンプルな部屋は、「考える時間」を与えてくれる

HOTEL WHYでは夕食の提供はないので、ホテル近くの「RISE & WIN Brewing Co.」でテイクアウト。
ホテルのお客さんには、リユース食器で提供してくれます。ビールの量り売りも可能です。

プルドポークのサンドイッチと、地産地消のお野菜。

おなかも心もいっぱいになり、寝る準備を始めます。
お風呂も床に廃材が使われていて、エコとおしゃれがミックスされた空間でした。

自然由来の原材料が使われたシャンプーやボディソープ

お風呂も上がって、そろそろ眠ろう。ソファベッドに自分でシーツを敷いて、ベッドメイクをします。これもなかなか普通のホテルでは経験しないこと。自分で手を動かす時間は脳内が整理されるので、その日一日を振り返るのにまたちょうど良い時間となりました。

朝ごはん、スタッフの方がトートバッグに入れて部屋まで届けてくれます。わっぱのお弁当箱やガラス容器を使うのはもちろん、このナッツグラノーラは「RISE & WIN Brewing Co.」でビール醸造後に出た素材を再利用し、粉々になってしまった上勝晩茶も混ぜたもの。ここでも「ゼロ・ウェイスト」が感じられる工夫がされていました。

「13種類45分別」を体験して感じたこと

ホテルに滞在するゲストは、希望するとごみ分別体験に参加することができます。さあ、部屋のごみバスケットを持って、いざ分別へ!

マヨネーズがついたプラスチック容器、わりばし、レシート、使い捨てのコンタクトなど…

ここでは、「ごみを出さないように滞在しないといけないのでは…?」と思う方も多くいらっしゃるそう。(私たちもそうでした!)でもそれだと分別体験がちゃんとできないのでは?と思われるかもしれません。そこは、せっけんを包む新聞紙やお茶っ葉などをホテル側が意図的に提供するようにして、分別体験ができる程度の最低限のごみが出るように工夫をしているんだそうです。

【紙類】
レシートやシールの台紙など、感熱紙やプラ加工されているものは紙として再生することができないので、「その他の紙」に分別し「固形燃料」へ。今までは、なんでもポイポイ燃えるごみで捨てていたなぁ…と反省しながら、紙として再生できない理由をしっかりと記憶します。
 
お菓子のパッケージなどは、「雑紙」に。他にも、段ボールや紙パック、シュレッダーくず、さらには柔らかい紙芯と固い紙芯など…紙だけでもこんなにたくさん分別の種類があることにびっくり。
 
「その他の紙」以外は、再生紙や段ボールに生まれ変わります。これらは有価で回収され、町の収入につながっているそう。

【ペットボトル】
ラベルとキャップを外して、中を洗います。最大でこのまま一年間保存することがあると聞いてびっくり。カビや虫が発生するとリサイクルできないので、洗ったら逆さまにして完全に水気を切る。ここまでできたら、分別完了です。

【プラスチック】
プラスチックは、汚れがついているものと、ついていないもので分けます。
コンビニで買ったチキン南蛮の容器についたマヨネーズ。これは洗ってきれいにするべきか、そのまま捨てるべきか、かなり悩みました…。洗っても油が残ってしまうということで、上勝町では「そのまま捨てる」が正解でした。

【どうしても燃やさなければならないもの】
ここには、マスクやティッシュなどのごみが該当します。これらは、衛生的にも焼却処分をするしか方法がありません。上勝町では処理機能がなかったため、このようなごみをいかに減らしていくかを考え続けています。しかし、どれだけ細かく分別を行ったとしても、焼却して埋め立てなければならないごみが無くなることはないんだよなぁ…と胸がギュッとする私。

各分別項目の右上には、リサイクルにかかる金額がそれぞれ明記されています。上勝町が「13種類45分別」を行う理由は、焼却・埋め立てごみをできる限り減らすためというのはもちろん、処理にかかるお金をできるだけ減らしたいと考えた結果なのだそう。
 

【生ごみ】
そして最後に、生ごみのコンポストを体験。
 
ホテルでは、「キエーロ」と呼ばれるコンポストを使用しています。屋根から日光を取り入れる設計にすることで温度調整ができ、雨水を貯水し水分量の調節も可能。そして定期的に全体を攪拌することで、空気の循環を調整して管理しているんだそう。

この土の中にいる微生物が、生ごみを消化してくれます。
人間が体内で消化できるものであれば、土の中の微生物も同じように分解することができて、水と二酸化炭素になって、空気中に消えていくんだとか。

ホテルが設立してから2年半の間、ずっとこのコンポストが使われているそう。2年半分の生ごみが、ここから消えていっていると思うと不思議すぎる!

土に穴を掘って、生ごみを入れます。みかんの皮などの大きい物は、スコップで刻みながら土と混ぜていき、なじんだら土で蓋をします。
土は6等分に区切られているので、日ごとに埋める場所をずらし、約一週間で、循環する仕組みになっているんだそう。

自宅でコンポストをする場合は、まずお茶っ葉や野菜くずなどで微生物を活性化させてから、徐々に肉・魚を入れていくと、微生物も分解に慣れ、自分自身もコンポストに慣れていけるのでおすすめとのこと!
 
 
これにて、分別体験は終了。
意識したもののなんだかんだでごみは出てしまい、胸が痛かったのですが、様々な種類のごみがあったことで、「これはこう分別されて、資源になりやすいのか」と、学べたことがとても救いでした。家に帰ってもこのことを思い出さなければと決意する、そんな時間となりました。

「 どうして?」を考えることが、はじめの一歩

「HOTEL WHY」が私たちに伝えたいこと。
それは、消費を減らすことではなく、45分別を実生活に取り入れることでもなく、暮らしの中で「これは、どうして?」と、少し手を止めて考えてみてほしいということだと感じました。
 
ここでの体験で、ごみを捨てるとき、「これはどう分別するのがいいかな?」と一度止まって考えるようになったり、友人の家に行ったときに分別されていないものに目が行くようになったり、以前よりも“気づく”ことが増えたように感じます。
 
最初の一歩として、まず気づけるようになったこと。でもそれだけで終わらせず、次は、その気づきをアクションに移すことが大切なんだと上勝町での時間を通して学びました。


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